2015.10.20
特発性大腿骨頭壊死
大腿骨頭とは大腿骨(太ももの骨)の上端部にあって、骨盤と股関節を形成している球状の部分を指します。
この股関節内の大腿骨頭の一部分が血行障害により栄養不足となって壊死状態となり脆弱化して潰されてしまう疾患が大腿骨頭壊死です。
大腿骨頭に栄養を与える血管は大腿骨頭動脈、内側大腿回旋動脈、及び外側大腿回旋動脈の3本がありますが、大腿骨頭動脈は
成人のうち2,3割の人は閉鎖しており、開通していたとしても動脈自体が細く(大腿骨頭靭帯の内部に存在)、流れる血流量は少ないため栄養供給は主として内・外側大腿回旋動脈に大きく依存している状況です。
内・外側大腿回旋動脈は大腿骨頸部を前後から輪状に取り囲んで走行していて、そこから分岐した動脈枝は大腿骨頸部に沿って上行して大腿骨頭に進入していくので、大腿骨頸部骨折や外傷性股関節脱臼などの外傷やそのための手術などでこれらの動脈が損傷を受けると大腿骨頭は虚血性の壊死に陥ることがあります。
これを二次性大腿骨頭壊死と呼びます(他には減圧病、鎌状赤血球、放射線治療なども原因となります)。
対して、特発性・・・・・・原因がはっきりと分からずに発症するのが特発性大腿骨頭壊死です。
こちらの方が二次性よりも統計的には遥かに多く発生していて発症原因はまだ解明されていませんが、危険因子として多量のアルコールの摂取やステロイドの服用・投与などが挙げられています。
ただし、明らかな危険因子が全く見当たらずに発生する場合もあり、現在でも原因を特定するための研究が続けられています。
20代ではステロイド治療を受けている女性に、40代以上では飲酒の習慣がある男性に発症率が高いという特徴があります。
骨壊死とは骨組織が腐った状態ではなく血流低下または途絶により死んでしまった病態であり、骨壊死が起きた段階では痛みなどの自覚症状はありません。
自覚症状は数か月~数年の時間経過(個人差があります)とともに骨壊死が発生した部分が潰れてきた時にようやく出てきます。
なので、骨壊死が発生したとしても壊死の範囲が小さければ、殆ど進行せずに痛みを感じずに生活している人も
多く違う目的で検査したらたまたま見つかったというような例も多いようです。
大腿骨頭に圧潰が起き始めた時の初期症状は歩行時、階段の昇降時、あるいは坐位からの立位時などで股関節に痛みを感じます。
また、股関節を内側に捻ると股関節部に痛みが発現し運動制限が認められます。
痛みが股関節部ではなく、腰やお尻、または大腿部~膝関節部にかけて坐骨神経痛様症状と感じる場合も少なくありません。
最終的には関節軟骨にも影響が出て変形性股関節症に移行してしまいます。
レントゲン、MRI、CT、骨シンチなどの検査によりステージⅠ~Ⅳの病期に分類されます。
治療法は壊死の大きさや圧潰の位置から予後が良いと判断できる場合や症状が出ていない場合は保存的療法を
行い、自覚症状があり、圧潰の進行度合いによっては手術療法が選択されます。
特発性大腿骨頭壊死は厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されていて治療費の自己負担分については公的助成を受けることができます。
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