2015.10.30
前距腓靭帯損傷(足首外側の捻挫)
「足首をひねった!!」・・・・・特にスポーツをしている人は少なくとも一度は必ず経験あると思います。
スポーツをしていない人でも、歩行時や階段の昇降時などで足を取られて捻ってしまったことはあるでしょう。
この時に発生するケガで最も多いのが「捻挫」です。
捻挫とはその名の通り関節を捻り挫いた時に、各人が本来持っている関節の生理的可動範囲を超える外力が加えられた時に起こる関節周辺の靭帯、関節包,腱などの軟部組織を損傷した状態のことを指します。
普通、捻挫は関節の可動域を制限して、安定させる役割を果たしている靭帯をメインに捉えます。
同様の発生機序で骨が折れてしまえば骨折、外れてしまえば脱臼となります。
足首の関節は基本的に、底屈(つま先を下に向ける)、背屈(つま先を上に向ける)、内転(つま先を内側に向ける)、外転(つま先を外側に向ける)、回外(足の親指側を上げる)、回内(足の小指側を上げる)という6種類の動きがあり、この内の底屈、内転、回外を組み合わせた動きを 「内返し」と呼びます。
この「内返し」と逆の動きが 「外返し」で、これは背屈、外転、回内の複合運動ですが、実際に足首を動かしてみると分かるように、人の足首は「外返し」よりも「内返し」」の方が解剖学的に捻りやすい構造となっています。
このため、足首の捻挫ではこの「内返し」が過度に強制された時に高頻度で発生します。
過度の「内返し」により足首の外側の靭帯を損傷してしまうことを内返し捻挫といい、前距腓靭帯(画像の緑ライン)、踵腓靭帯(画像の赤ライン)、後距腓靭帯(画像の青ライン)を主に痛めやすいのですが、その中でも一番損傷の多いのが前距腓靭帯です。
前距腓靭帯は腓骨(外くるぶしを作っている骨)と距骨(両くるぶしの間にあって足首の土台となる骨)を安定させている幾つかの靭帯の一つで、この靭帯の役目は距骨が前方へ過度に移動しないためのストッパー的な働きをしています。
距骨は形状的に後側よりも前側の方が幅広い台形状をしているため、後側よりも前側の方に移動しやすい特徴があり、前距腓靭帯は距骨が前側に行き過ぎないために存在しています。
よって、足首を底屈した時に、距骨はより前方への動きが起こることに加えて、そこに内転と回外の動きが共同で起こる「内返し」ではよりベクトル的に前距腓靭帯に伸長される負荷がかかることがこの靭帯の損傷率が高い理由となっています。
その他に、前距腓靭帯は踵腓靭帯や後距腓靭帯と比較してその厚みが薄いことも理由として考えられます。
前距腓靭帯損傷に次いで多いのが踵腓靭帯損傷であると言われていますが、実際には両方同時に損傷している例も多く見られ、また腓骨筋などの腱損傷も併発することも多いです。
以下に、一般的な靭帯損傷の重症度の分類を紹介します。
・Ⅰ度:靭帯繊維の微細損傷で関節の動揺性は認められません。
・Ⅱ度:靭帯の部分断裂で関節の動揺性が認められます。
・Ⅲ度:靭帯の完全断裂。 かなりの動揺性が関節に認められ、手術の適応となります。
Ⅰ度の靭帯損傷でもその程度には軽いものから重いものまで幅があります。
痛みが軽いからと治療しないでいると靭帯に生じたキズが重症化してしまう場合もあるので早期の治療が必要となります。
よく足首をちょっとしたことで捻りやすくなっている人は大概過去に捻挫を経験して放置していたか、あるいは固定期間や固定方法が不十分だった可能性があります。
このような人の足首は靭帯に緩みが生じて関節が不安定になっている・・・・いわゆる「癖になっている」可能性があります。
ただし、捻挫で靭帯損傷が治ったとしても、関節が拘縮といって固まっている状態なのでリハビリが大切となります。
筋肉の柔軟性、筋力、そして「固有知覚」いわゆる反射能力などを十分に回復させないとこれも再発の原因となってしまいます。
当院ではリハビリも含めた捻挫の治療、指導を行っていますので、日常生活やスポーツで足首を捻って痛みが出てしまった場合はご来院してみて下さい。
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