2015.10.25
肋骨骨折
転倒したり、人や物にぶつかったり、または押されたりしたことにより、もしも胸や背中に痛みが起きたとしたら、それは肋骨(あばら骨)が折れてしまっている可能性があります。
肋骨は胸骨(胸の真ん中にある縦長の骨)と胸椎(背骨の背中部分の骨)と共同して胸郭を構成しており心臓や肺を守っています。
左右に12本ずつあって背中側で胸椎と肋椎関節を作り、そこから体幹をグルっと囲みながら前方へ向かって
胸骨に辿り着いています。
胸骨に近い肋骨の前方部分は肋軟骨という軟骨組織でこれにより胸郭は弾力性を与えられています。
胸骨と肋軟骨で作られる関節を胸肋関節と呼びますが、直接、胸骨と連結して関節を形成しているのは第1~7肋軟骨(真肋)のみで、第8~12肋軟骨(仮肋)は直上の肋軟骨に結合してから胸骨に付着する構造となっています。
また、第11、12肋骨だけは浮遊肋といって胸骨とは繋がっていません。
完全骨折と不全骨折(ひび)がありますが、特に、第4~8肋骨が好発部位となります。
直接、肋骨に外力が加わり折れる場合(直達外力)と前後、または左右の両方向からの外力で胸郭が圧迫されて折れてしまう場合(介達外力)の2パターンがあります。
子供より大人の方が発生しやすく、その理由として子供の骨は肋骨も含めて非常に弾力性に富んでいるのに対して、大人、特に高齢者の場合は骨粗しょう症などで骨が脆くなっていることに加えて、肋軟骨自体にも石灰化や骨化が起こりやすく弾力性が減少してしまうことが挙げられます。
よって、高齢者の場合、激しく咳やクシャミをした時などでも肋骨にひびが入ってしまうことがあります。
症状として圧痛の他に、体幹の動作時痛、及び、深呼吸、咳、またはクシャミした時にも骨折部にズキッとした痛みが走ります。
基本的には保存療法を行います。
サラシや胸部の動揺性を防ぐバンドなどを使用して2~3週間固定します。
しかし、合併症を伴う肋骨骨折の場合には注意が必要となります。
例えば、交通事故などの高エネルギーの外力を受けた際に、1本の肋骨に2ヵ所以上の骨折(多発骨折)が発生し、それが隣り合う数本の肋骨に及んでしまうと「動揺性胸郭」といって胸部の支持力が失われて呼吸不全となり、最悪死に至る場合もあります。
また、「血胸」といって、肋骨骨折により肋間、または内胸動・静脈が損傷してその血液が胸膜腔に貯留してその圧力で肺が収縮してしまう病態で呼吸困難が生じます。
レントゲン撮影を行うと肺の部分は影として黒く映りますが、血胸となり血腫が出来てしまうと肺の影部分がしっかりと映らなくなります。
肋骨骨折で息苦しさが続く場合は血胸を合併していることも考えられるので、レントゲン撮影の他に血中の酸素飽和度を計測する検査も要します。
その他に、外傷性の気胸や皮下気腫、または内臓損傷などの命に関わる重篤な合併症もあります。
特に、息苦しい、呼吸が浅い・・・・・などの症状がある場合、血胸、気胸、あるいは血気胸を併発していることもあるので要注意です。
第11、12肋骨骨折では腎臓の損傷により血尿が起こることもあります。
肋骨骨折でも上記のような合併症が起きた時は速やかにしかるべき医療機関で処置を受ける必要があり、また重度の合併症の場合は緊急の手術の適応となります。
当院でも、転倒したりして胸や背中を強打して来院する患者さんは数多くいます。
打撲だろうと考えて放置せずに痛みが続くようであれば、一度ご相談してみて下さい。
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